植物再見 -- pick up garden plants --

春夏の植物 (2000年8月)


クンシランClivia miniata 
トキンイバラ Rubus‘Tokinibara’
(アカネの仲間)Phuopsis stylosa
カマヤマアヤメ Iris sanguinea Hornem. var. violacea
宿根サルビア2種類Salvia
キバナハスNelumbo lutea

●クンシラン Clivia miniata

豪華な、そしてなじみ深い花
クンシランの仲間は原種が4種類ほど知られていますが、Clivia miniata 以外の種はほとんど栽培されていません。

「クンシラン」という名前は、最初 C. nobilis につけられました。 この場で紹介している C. miniata は当初は「 ウケザキクンシラン」という名がつけられていました。
しかしC. nobilis は植物園などで稀にしか見られないため、 より豪華な花を咲かせる C. miniata がクンシランと呼ばれるようになりました。
「ラン」と名前がついていますが 蘭の仲間ではなく、ヒガンバナの仲間です。

さて、写真は 黄花の種類の中の、Clivia miniata‘Vico Yellow’ です。 本種は Peter Smithers 卿により実生から1978年頃に選抜されたものです。 この株はその後増殖され平尾秀一氏に送られました。 その後平尾氏によって日本のクンシラン育種のために無償で配布されたのですが、 通常オレンジ色の系統が多いクンシランの黄花があまりに美しかったからか、 話題を呼び、 価格もつりあがり、一部の人によって投機の対象にされてしまった経緯があります。 日本の園芸の裏事情を見るようで残念なことです。

しかし、一方で 黄花クンシランの育種は飛躍的に進み、現在では 実生で100パーセントの黄花が出るようになりました。
それに伴い、一般のクンシランなみの値段で手に入ることになったのは嬉しいことだと思います。
‘Vico Yellow’以外の キバナクンシランも たくさん 作出されています。
また‘Vico Yellow’もミヨシによって メリクロン技術により増殖され一般に入手できるようになりました。


先頭へ戻る

●トキンイバラ Rubus‘Tokinibara’

丈夫で美しいキイチゴの仲間
キイチゴの仲間と言えば一般には食用となるラズベリー、ブラックベリーがすぐに思い出されますが本種は数少ない観賞用の種類です。 この種類がいったいどの野生種に起源するかは現在も議論があり、 学名も文献によって異なり我々の頭を悩ますことになるのですが、 それはさておき観賞価値は非常に高く、私の庭で見た人のほとんどはその株を持ち帰るほどです。

中国原産と言われ、日本には宝永年間に入ってきたとされていますが、あまり普及していない様子で、 一般の花屋さんではまず見ることはありません。非常に丈夫な種類で何も手をかけずとも匍匐枝でどんどん広がり、毎年花を咲かせてくれます。
手入れといえば花が咲き終わった二年目の枝を切ることと、はみだして生えた枝を抜き取るぐらいです。
伸びた一年目の枝には花はあまり咲かず、二年目の枝にたくさんの花がつくことと、その後の古い枝にはほとんど花が着かないためです。
  こんなに丈夫できれいな花が一般的でないというのは本当に残念なことです。


先頭へ戻る

Phuopsis stylosa

可愛いグランドカバー
Crucianella stylosa とも呼ばれている種類で、 コーカサスから小アジアを中心として分布しているたいへんかわいい宿根草です。
グランドカバーとして優れた種類です。
開花時期はあまり長くないのですが春の一時期、覆うように咲く姿は魅力的なものです。


先頭へ戻る

●カマヤマアヤメ Iris sanguinea var. violacea

原種の清楚さを持つ花
カマヤマショウブとも呼ばれるアヤメの仲間で、朝鮮半島から中国東北部に分布し、 日本にもかなり古くより栽培されているようです。
非常に丈夫な種類で耐寒性もあり花着きも良いため、もっと植えられても良い種類です。

 本種やアヤメ、それに Iris sibiricaIris forrestii などが交配されてできた品種群が シベリアンアイリスと呼ばれる系統で欧米では非常に人気があります。
国内でも一部の人によりアヤメを用いて育種が行われています。

原種の持つ清楚な姿をとどめた花が初夏の風に数百そよぐ風景は、あでやかな ジャーマンアイリスやハナショウブとはまた違った良さがあります。


先頭へ戻る

●宿根サルビア Salvia

個性的な花の魅力

サルビアと言えば、これまでは一年草として栽培される Salvia splendens の系統をさすことがほとんどでしたが、 最近は宿根草の Salvia も多く見られるようになりました。
料理で使われる セージSalvia officinalis )も、 もちろん Salvia の一種です。
しかし、ここでは花が鑑賞できる種類をとりあげてみましょう。

数年前、この仲間が花屋さんで見られるようになった頃、名前の混乱がこの仲間の普及の妨げになりました。
今ではかなり正確な名前で売られており、安心して購入できるようになりました。
4,5年前からこの仲間に注目して国内、外から導入した種類は100種類以上になります。 しかし、多湿に弱かったり耐寒性が少なかったりで、現在では露地植えで50種類あまりまでに減少しています。

最近は いろいろな種類のサルビアを手に入れることができるようになったと書きましたが、 花屋さんで見られる種類はそのほとんどが挿し木で繁殖させる種類で、 種子や株分けで繁殖させるものはほとんど見ることができません。その点は残念に思います。
紹介した二種類は昨年あたりから一般に出るようになった種類です。

(Salvia clevelandii)
クラベランドセージ と、最近は紹介されています。
葉の色の、灰色を帯びた緑が魅力的で、夏に涼感をあたえてくれるようです。
また、この香は強烈で、風にそよいだだけで数mの範囲で香ってきます。


(Salvia discolor)
サルビア ディスカラー 黒い花の個性的なサルビアです。
本種の魅力はまず、葉の色、(表は緑ですが裏は毛で覆われて真っ白です)でしょう。
花の色も、(この写真では少し見えみえにくいですが)ほとんど黒です。
欠点は花ががくからあまり出ていないため、めだたないことです。もう少し大きかったらと、残念に思います。


先頭へ戻る

●キバナハス Nelumbo lutea 

魅力的な黄花
ハスの仲間は2種あるのですが、本種はアメリカに分布する黄花の種類です。
ハス Nelumbo nucifera は多くの園芸品種があり、国内でも、夏の水辺の代表的な花となっています。
しかし、本種(Nelumbo lutea )のほうはあまり普及していないようです。
画像ではあまり色が出ていませんが、薄いクリーム色でなかなか魅力的です。残念なことに、開花させるのが難しいようです。
通常ハスは容器栽培でも開花するのですが、本種はなかなか咲きにくいように感じています。 私のところでもやっと咲いたというところで、本来は露地でのびのびと育てるべきなのでしょう。
 本種が容器で栽培が簡単になれば、もっと普及してどこででも黄色のハスが楽しめるようになるでしょう。 そのような系統が手に入ればと思っています。


先頭へ戻る

植物再見の目次へもどる


HOME