植物再見 -- pick up garden plants --

初春の植物 (2000年2月)


ソシンロウバイChimonanthus praecox ‘Concolor’
フサザキスイセンNarcissus tazetta
プリムラポリアンタPrimula × polyantha
エアープランツ(チランジア)Tillandsia

●ソシンロウバイ Chimonanthus praecox‘Concolor’ 

ロウ細工のような 香の良い花

ソシンロウバイは中国原産のロウバイの園芸品種で、各地で栽培されています。
正月頃にこのソシンロウバイも「ロウバイ」として生け花用に多く出回っています
「ソシン」とは「他の色が混ざらない」という意味で、東洋ランなどでよく使われる用語です。 普通のロウバイは内側の花被片が紫色なのですが、 その色が抜けているためにソシンロウバイと呼ばれています。

香りがすばらしいことで知られ、また早春に咲くことから好まれています。
わたしのところでは正月前に咲きはじめ、1月いっぱいその花を楽しむことができます。 そのために正月の玄関は毎年この花が活けられています。品種によっては開花時期に少しずれがあるようで、 1月の下旬には白っぽいロウバイが咲いています。
実生でも簡単に増えるためいろいろな個体があります。 また、接ぎ木でも繁殖されていますので、好みの品種を選ぶとよいでしょう。


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●フサザキスイセン Narcissus tazetta 

昔から親しまれた花

フサザキスイセンは地中海沿岸地方から中国・日本まで分布するスイセンで、 中国・日本に分布するものは古来に渡来したものではないかといわれています。 国内では越前、伊豆などの海岸付近に多く見らます。一本の茎から複数の花を房状に咲かせます。
ここで取り上げた個体は中国の通称、シナスイセンといわれるもので、最近ではほとんど見られなくなりました。 これは植物防疫上やむをえないことで、戦前は大量に中国から輸入されていました。 日本産との最大の違いはその球根の大きさで、日本のものとは比べものにならないほど大型です。
そのため、蟹作りという仕立て方にはなくてはならない系統なのですが、 その蟹作り、別名曲玉作りも現在ではほとんど見ることはできません。 この蟹作りを見たことのある園芸家はかなりのベテランでしょう。


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●プリムラ・ポリアンタ Primula × polyantha

色とりどりの可愛い花

Primula × polyantha P.elatiorP.verisP.vulgaris などが交雑されてできた園芸品種です。
早春の花屋さんの店先では『ポリアンサ』や『ポリアンサス』の名前でも呼ばれ、もっとも人気のある花となっています。
ただ、一般に見られる品種は大輪系の株元からたくさんの花茎があがる品種群で、 1本の太い花茎をのばしその先にたくさんの花を咲かせるタイプはほとんど見られません。 そのような中で、パラソルの系統などはその花色とともに珍しいものでしたが、あまり売れなかったようです。

ここで取り上げたものは、Florence Bellis夫人が改良したもので、 Barnhavenのプリムローズとして著名なものですが、 残念ながら国内ではほとんど見ることができません。 趣味家に細々とつくられているのが現状なのかもしれません。
Bellis夫人は1930年代の半ば、イギリスのSuttonから取り寄せた種子をもとに、 これらの品種をつくりあげていったといいます。 Bellis夫人の品種群の最大の特徴は、その色のすばらしさ、花壇用として丈夫で育てやすいこと、 さらに種子からでもよく固定しているということです。
(Bellis夫人のPrimula × polyantha 写真上) Bellis夫人の改良されたポリアンタには、八重咲きの系統もあります。
これは、ダブルプリムローズとして知られていますが、 近年メリクロン技術により一部の品種が大量生産されるようになりました。 大量生産される品種がある一方で趣味家の方が細々と系統維持されている品種群もあります。 これらは熱心な方が亡くなったりするとすぐに絶えてしまいます。 そのためにもみんなで保存する必用がでてくるのです。
大量生産されているからといってそれがいつまでも続くわけではありません。 気がついたらもう生産されていないということも実際にはあるわけですから。 プリムラは、本来は宿根草ですが夏の暑い地方では一年草扱いになってしまいます。 パンジ−が寒冷地では宿根草になるのと同じです。夏の涼しい地方のかたに特にお勧めです。

この系統でもうひとつ、cv. Gold Raceというかわいい園芸品種を紹介しましょう。 これも実生でかなりの確率でよい個体がでてきます。趣味で栽培するのに適していると思います。 (Primula × polyantha‘Gold Race’写真下)


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●エアープランツ(チランジア) Tillandsia 

本当は栽培に注意が必要なものも多い「水要らず?」の植物

「水をやらなくても育つエアープランツ」というキャッチフレーズとともに、 インテリア小物に着けられたTillandsia がよく売られています。 植物の生育に水がいらないわけがなく、この間違ったキャッチフレーズによって大量のミイラがつくられていきました。 この仲間は枯れたことがわかりにくいため、ミイラをそのまま鑑賞していることに気がつかないわけです。
日本で売られているTillandsia は、丈夫な種類ばかりではないため、 その栽培にはかなりの注意を必要とする場合が多くあります。
(Tillandsia sprengeriana 写真上)

そのような中で、T.stricta は丈夫さと愛らしさで注目すべき種類です。それに手に入れやすいというのもうれしいです。 Tillandsia と同じパイナップル科のBillbergia nutans は、以前はよく見られましたが、 現在ではほとんど見かけることはありません。 苞葉がピンクで非常にきれいなのですが、開花期間が短いのが惜しまれます。
パイナップル科の植物は1960年代にひとつのブームがあり、たくさんの種類が輸入されて花屋さんの店先を飾っていました。 そのブームも終わると、ほとんどの種類は本当に好きな人の温室で細々と生き残っているだけになってしまいました。 しかし、またこの仲間に注目する人が増え、「会」もできたということで、これからの発展が期待できます。 そして、正しい知識が広まることにより 大量のミイラがつくられないようになることを願っています。
(Tillandsia stricta 写真下)


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